賃貸マンションの贈与は所得税が発生する?Part1

 相談事項

 

私は息子に対して所有している賃貸マンションを贈与しようと思っております。
この場合は、息子が贈与税を納めるだけで大丈夫でしょうか?その他に留意点があるのでしょうか?

 

 回答

 

賃貸マンションの入居者から敷金を預かっている場合は「負担付贈与」に該当します。
「負担付贈与」に該当する場合には、贈与税のほかご相談者様が所得税を納める必要があります。
「負担付贈与」を回避するためには、敷金相当額についても現金で贈与することが必要です。

この場合における贈与税の課税価格は”贈与財産の価額-負担額”となります。
また、譲渡所得の金額は”引き継がれた負担(債務)相当額-帳簿価額”となります。

※正確な課税関係は少し異なりますが詳細はPart2で解説します。

 

 解説

 

1.負担付贈与とは

負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与をいいます。

 

2.賃貸マンションの贈与に係る負担付贈与通達の適用関係(国税庁質疑応答事例より)

贈与者が賃貸人に対して敷金返還義務を負っている状態で、息子に対し賃貸マンションを贈与した場合には法形式上は、負担付贈与に該当しますが、当該敷金返還義務に相当する現金の贈与を同時に行っている場合には、一般的に当該敷金返還債務を承継させる意図が贈与者・受贈者間においてなく、実質的な負担はないと認定することができます。
したがって、実質的に負担付贈与に当たらないと解するのが相当ですから、負担付贈与通達の適用はありません。

 

3.負担付贈与における贈与税課税(国税庁タックスアンサーより)

個人から負担付贈与を受けた場合は贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになります。

この場合の課税価格は、贈与された財産が土地や借地権などである場合及び家屋や構築物などである場合には、その贈与の時における通常の取引価額に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっています。
また、贈与された財産が上記の財産以外のものである場合は、その財産の相続税評価額から負担額を控除した価額となります。

 

4.負担付贈与における所得税課税

所得税法上の譲渡所得における「対価」には、金銭だけでなく金銭以外の物又は権利その他経済的な利益も含まれることとされています。

このため、贈与という名目ではあっても、その贈与に伴って贈与者が負っていた債務相当額が受贈者に引き継がれるような場合、贈与者は受贈者に引き継がれた債務相当額の経済的利益を得たことと同じことになります。

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